5.バス業界の現状
渡部:
ちょうど良い時間だ。(時計を見ると、ちょうど50分経過、対談は1時間の予定)。バスというとあまりに身近で、皆あまり意識せずに乗っていると思いますけど、バス業界では今、こんな話題が旬で、こんなことに取り組んでいるとか、バス会社共通の問題があるとか、そういうことは何かありますか。
吉田さん:
共通の問題は、人口が減るということですよね。
渡部:
ああ〜。
吉田さん:
高齢化になって、毎日仕事でバスを使ってくれていた人たちが定年退職して、もう毎日乗ることはなくなるんですよ。毎年毎年人口が減って、バスに乗る人が減っていくんですよ。だから業界全体としての問題は、バスは人の移動ですから、人の移動を今までと同じようにやっていたら、必ずビジネスは縮小するんです。
渡部:
ああ、なるほど。
吉田さん:
ビジネスとして単純縮小するような人口構成に対して、何もせず死を待つか、どう手を打つか。業界全体の問題点としては、1つ、そういうことがありますね。もう1つは、環境対応、排ガスなど色々な問題に対応していこうとすると、コスト面が非常に高くなるんですよ。だから人口が減って、売上も減るのに、排ガス規制のように新しい対応がますます求められてくるという状況ですね。
渡部:
排ガスの対応ですとか、環境に優しい車には、もうなってるんですよね?
吉田さん:
はい。もうなっています。
阿部さん:
黒い煙は、実は違うんですよ。まあ、それも直さなくちゃいけないですけどね。黒い煙って、「なんだ、排ガス規制なのに」と思いがちですけど、実は有害な物質というのは目に見えないものなので、それは出ていないんです。
渡部:
あ、そうなんですか。初めて知りました。黒い煙って、いかにも体に悪そうですもんね。
阿部さん:
「悪そう」っていうのが、もうだめなんですけどね。
渡部:
なるほど。そうですよね、イメージが悪くなりますもんね。今度煙に色が付いたりするんですかねえ?水色とか、かわいいイメージの煙に。
阿部さん:
はははは。ピンク色とか(笑)。
渡部:
阿部さんの視点では、バス業界の現状で、他に何かありますか?
阿部さん:
いえ、他には特に。やっぱり、今まで通り通勤・通学をメインにしていては、だめだなと。