6.今後の夢、読者の皆さんへ
渡部:
では今後の夢を教えてください。個人の夢でも、こういう会社にしたいという夢でも。
阿部さん:
そうですね。入社試験の時に、「どんなバスに乗りたいですか?」を皆に書いてもらうんですけど、「バスに乗ったらいい匂いがするバス」とか、「ニュースが流れるバス」とか、大体皆似たようなことを書くので、そういったことができるようにしたいですね。あとは、バスは遅れて当たり前のような部分もあるので、きちっと時刻通りに走って、例えばバス停で待っていて、「あと何分で到着」とか、わかればねえ。
渡部:
ああ、「電車が来ます」とか、電車のホームに出ているような感じですね。
阿部さん:
ええ。
渡部:
あと、飲んだり食べたりは、基本的にバスの中でないですもんね。豪華なシートがあったりして、意味もなくバスに乗ってくつろげるような。
阿部さん:
ぎゅうぎゅう詰めって、皆嫌がりますからね。空間を何かでうまく使わないとね。京都だったら西陣織を飾っておくとか。社内でミュージアムみたいなね。
渡部:
ははは、いいですねえ。吉田さんはどんな夢がありますか?
吉田さん:
経営理念は明確で、「人が移動したいというニーズに対して、安心で快適なサービスを提供することを通じて、社会に貢献する」と決めているので。ただ、毎日の現実が、毎日毎日の積み重ねが大事です。「平和交通のバスがあるから、小さいお子さんが夜、一人で塾に通っても大丈夫だ」というような、お客さんや地域にとって安心な存在になっていきたいですよね。あとは、「運転手さんとお客さんとの間で、良いコミュニケーションができていて、バスってこんなに良いもので、良い仕事ですよ」ということを、他の地域にもぜひ広げて行きたいですよね。利益を出しながら、でも他と競争するというのではなくて。それからぜひ将来は、その場で乗り降りできる路面電車、LRTを千葉市に走らせたいですね。
阿部さん:
ところで、安心と安全って、全然違うんですよ。牛肉を食べて狂牛病に当たる確率って、実は交通事故に遭う確率より低いんです。でも、皆食べなくなってしまう。それは、ある程度安全なんだけど、安心だと思えないから、皆食べなくなるんですよね。
渡部:
ああ〜、なるほど。
吉田さん:
安全というのは、提供者側の理論ですよ。安全運転でお願いしますとか。バス会社としてそれを指導する上での理論で、お客さんにとっては、バスが安全なのは当たり前で、「あ、安全なバスが来た」なんて、誰も思わないですよね。だけど、バス停で待っていた時に、運転手さんが自分の子どもに優しく声をかけてくれたら、心の中が穏やかになるじゃないですか。それが安心感ですよね。
渡部:
なるほど。確かに、安全と安心はだいぶ違いますね!では最後、読者の皆さんに一言、お願いします。
吉田さん:
読者の皆さんに、はい、どうぞ! (阿部さんに振る)
阿部さん:
ええ〜。
渡部:
(笑)
阿部さん:
バスに限らずホームページって、ファン向けのページがあまりないですので、うちではこれからホームページでも、バスファン向けのページをを作って行ければなと思いますので。できればこう、ホームページをどんどん変えていって、「また同じだ」じゃなくて、できれば微妙に変えておもしろいものにしていきたいなと思います。
渡部:
はい、ありがとうございます。
吉田さん:
色々な地域の方に、今まで「ホームページないんですか?」とたくさん言われてきましたけれども、本当に、できるまで時間がかかってしまって申し訳ありませんでした。あとは阿部が言ったように、うちの会社らしいホームページに、色々変化させていきたいなと思っています。
渡部:
はい。いいんですか?ホームページ以外には。
阿部さん:
あの〜、お褒めの言葉も。苦情だけじゃなくて。
吉田さん:
あははは。苦情が多いということではなくて、最近はハートを感じない苦情が増えているといいますか、携帯が普及しているからか、その場でバーンと来るものも、あるんですね。
渡部:
なるほど。「こうなってくれたら皆のためにもいいのに」という前向きな苦情ではないのですね。
阿部さん:
あとはパスモができて、色々便利になっていくでしょうけど、「乗る前に小銭のご用意を」、とかね(笑)。
渡部:
ははは。でも伝わってきますよ。ホームページで平和交通さんを検索していても、ヒットするページの中にはファンの人がいたり、「皆にとても愛されている会社だな」って、すごく伝わってきます。
吉田さん:
結局、会社も運転手さんも、お客さんに育てられているんですよね。だからぜひお客さんにも、単に「駅まで行く手段」として平和交通を捉えるのではなくて、「地域のコミュニティのひとつ」という形でぜひ捉えてください、というのはありますね。
渡部:
ありがとうございました!
阿部さん:
ありがとうございました。
吉田さん:
では3人で写真撮りましょうかね!
渡部:
はい!