2.新しいお米の作り方とお米の家計図
渡部:
ところで新しい品種のお米って、どうやって作るんですか?
川島さん:
お米は稲ですから植物ですよね。だから花粉で作るんです。おしべとめしべの交配で、優秀な品種の強みを次の代に受け継がせて作るわけです。コシヒカリはやはり良いお米なので、コシヒカリとコシヒカリの欠点を補うような品種で、おしべとめしべを交配させて作ります。
渡部:
では、コシヒカリはほとんど固定で、コシヒカリと組み合わせるお米の方が、バラエティーに富んでいるわけですね。
川島さん:
そうですね。うちのお店に並んでいるお米もほとんどがコシヒカリの系統で、コシヒカリの子供、孫たちですね。家計図じゃないですけど、ちゃんとお父さんとお母さんがいて、その子供が何々と。
渡部:
おもしろいですねえ。そうか、お米にも家計図が描けるんですね。
川島さん:
そうです。ですから、良いお米ができると、昔習ったメンデルの法則じゃないですけど、その良いお米の癖を濃くして行くんですね。次の代に行っても必ずその良い癖がでるように。
渡部:
では、商品になるまでには、何代も経ないと、だめなんですね。これは大変だ。
川島さん:
そうなんです。工業製品と違って自然のものだから、普通なら10年かかります。それを、「恋しぐれ」というお米は、ゲノムの技術を使って3年くらいに短縮して作られたんです。作るのは農家の人たちではなくて、農業試験場の専門家ですけどね。
渡部:
10年ってすごいですね。あとは、やっぱり農家の人でなくて、専門家が作るんですね。